兵庫マスターズ 駅伝日本一のチームを支える監督とは? 北垣 章さん(後半)

兵庫マスターズ陸上競技連盟 理事 駅伝監督

北垣 章さん

競技歴・経歴については、前半の記事を参照して下さい。

選手引退後

ダイエットのためにランニングを再開

気が付くと47歳、不規則な生活と乱れた食習慣で

体重は80キロ台まで増え、メタボ体形に。

一念発起して、週末は自宅付近の六甲山系の山々を歩き、

半年で12キロの減量に成功。その後もダイエットを継続し、

体重を63キロまで落とすことができました。

招待選手そして監督への道

神戸マラソンのペースセッター

2011年から始まった神戸マラソンでは、サブスリー

(フルマラソンを3時間以内に完走すること)のペースセッターを任され、

2013年は最高齢(50歳)の招待選手となりました。

その後、2014年12月山口で開催された全日本マスターズ駅伝に出場し、

兵庫県の優勝に貢献されました。

2017年からは、選手から駅伝チームの監督に軸足を移して

現在まで活動されています。

楽しむ走りへと大変化

(北垣)

今から思えば、速く走りたい強くなりたい一心で

ハードトレーニングにも耐えてきましたが、

目標を無くした途端に今まで自分が築き上げてきたものが瓦解した感じがあります。

でも、後悔の気持ちは不思議なくらいなくて、寧ろほっとした気持ちと共に、

ああ自分は今まで走ってきて楽しいと思ったことは一度もなかったんだ、

ということに気づきました。

陸上界への恩返し サブスリーペースセッターに

(金子)

現役引退後22年のブランクを経て、

神戸マラソンのサブスリーペースセッターとして走るきっかけは?

また、その為に、どのようなトレーニングをされているのですか?

(北垣)

現役の時は速く走ること、成績を残すために苦しいトレーニングにも耐えてきました。

引退後は、モチベーションもなく、走ることは二度とないと。

ダイエットのため、走り始めたのもトレイルランニングやマラソンです。

駅伝とは系統が違います。

実は、陸上関係者に自分が走っていることを知られたくないのもあって山を選んだのです(笑)。

そうやって密かに走っていたのに、神戸マラソン実行委員会から、

ペースセッター依頼の話が飛び込んできました。

予てから自分の気持ちの中に陸上に対して恩返しがしたい。

そうだ、ペースセッターは市民ランナーを目標タイムに導いていくのが使命。

まさにこれやっ!て直感が走りました。

ペースセッターを引き受けてからは確実に、

使命を果たすためのプランを考えました。

年齢が50代ということで、若いころやっていたトレーニングをそのまま適用することには無理がある。

まずサブスリーを担当するにも、2時間40分前半の走力がなければ、

余裕をもったペースメイクはできない。

現状の自分の力を考えて、半年前の5月からのプランを編成しました。

ペースセッターの練習とは?

(北垣)

私が行った主な内容は、

①  5月GW~7月中旬まで、週末ロードで30キロ走をキロ5分から6分ペースで。

②   真夏の8月末まで、土曜日は早朝2時間から4時間のゆったりとしたクロスカントリー

③   9月前半第2週は、疲労抜き期間としてジョックか休養。

④   9月下旬から10月末までは、週末ロード30キロをキロ4分30秒から15秒程度

⑤   週末以外は、仕事の関係で練習時間が確保できないことがあります。

また確保できても1時間足らずの限られた時間の中、

ショートインターバル等で体に刺激を入れ、体調チェック。

予定通りこなせない、タイムが入らない場合は

一旦体調を立て直してから、翌週体調に応じた負荷を与えコンディションを上げていく。

このトレーニングを通じて気が付いたことは、

競技ではないランニングってなんて楽しいんだ。

市民ランナーの人が毎週いろんな大会で楽しまれている光景は、きっとこんな心境なんかなと。

長い時間かかりましたが、走ることのすばらしさを実感しました。

(金子)

現役時代の土台が無いと難しい、ハードな練習ですね。

でも、楽しんで走ることを発見されたのも成果でしたね。

監督として 実力だけではない選手選びとは?

(金子)

ところで、兵庫マスターズ駅伝監督として、選手を選んでいく基準はなんですか?

(北垣)

当たり前ですが、競技力が高くなければ全国大会候補選手には上がりません。

マスターズは30歳から5歳刻みで70歳まで9つのカテゴリーから選手を選抜します。

過去に全国大会を走った人およびランナーズの「全日本マラソンランキング」、

Run-netの情報から、兵庫県もしくは近隣在住で各地のロードレースにおいて

好成績を収められた人をリストアップします。

そして、そのリストアップした情報から絞り込みを行い、

各カテゴリー候補選手を3名から4名上げていきます。

次に候補選手と会って話をします。

大体リストアップされる方の9割は私と面識ある人になっています。

ここでチェックするのはチーム兵庫に愛着があるか否か。

駅伝は、各個人が強ければよいという単純なものでなく、

チームという組織の中で、どのような思い気持ちで走ってくれるか?

という要素が重要になります。

兵庫は強いというイメージをみなさんもたれますが、

皆が区間賞をとっているわけでは決してありません。

チームワークとは

(金子)

駅伝に参加する人が、チームのメンバーとして活躍するには

どのようなことが必要なのでしょうか?

(北垣)

例えば、1区はトップが見える位置で渡すことを最低条件に走る。

2区以降は、勝負できる区間まで大きな差をつけられずにレースに絡む。

勝つときは、5mのところ10mまで相手を引き離す。

負ける区間でも、10m負けるところを5mに縮めるなど。

メンバーのことを思い、泥臭く走れる人かどうかというところを見て、

選手を決定していきます。

これからの目標

監督として 全国マスターズ駅伝で全種目優勝

選手として 還暦で神戸マラソンのサブスリーセッター

(金子)

今後の目標はどのようなものですか?

(北垣)

還暦で神戸マラソンに出場し、サブスリーペースセッターを務めることです。

監督としての目標は、今年のマスターズ駅伝で全種目

(男子、女子、エルダー全部門)で兵庫が優勝することです。

兵庫マスターズ チームワーク作りの為の合宿

(金子)

兵庫マスターズの皆さんは、選手として優秀なばかりでなく、

和やかな雰囲気で、お互いのチカラを認め合い、仲がいいという印象でした。

大会までのチームワーク作りで気を付けていることはありますか?

(北垣)

毎年7月に1泊2日の合宿を兵庫県香美町で行っていますが、

練習はもとより皆さんと一杯飲みながら交流を図る中で

チームビルディングをスタートさせます。

そして秋の駅伝に向けて雰囲気を徐々に徐々に盛り上げていきます。

年齢を経た走りとは?

(金子)

年齢を重ねても走り続けたい人達にアドバイスをお願いします。

(北垣)

年齢を重ねるにつれて記録を伸ばすことやモチベーションを維持することは

次第に困難になってきますが、それは自然なことなので、

まずは何よりも楽しんで走ることではないでしょうか。

そして無理を重ねて故障や体調を崩さないよう、

自分自身を客観視しながら取り組むことが大切だと思います。

体調を意識した毎日のバランス食

(金子)

食べ物で好き嫌いはありますか?

毎日の食事は、どんなメニューですか?

(北垣)

好き嫌いはありません。

朝は、ご飯とみそ汁、納豆とあと一品。昼は、お弁当(奥様手作り)

夜は、鶏や豚の肉類と魚、卵、野菜をバランスよく、お酒(ビール)を少しのみます。

特に、トレーニングで筋肉が疲れているときは肉類を好みます。

牛肉は赤身をたまに食べます。

カーボローディングについて

(金子)

カーボローディングはどうされていますか?

(北垣)

現役時代に試みたことがありますが、

胃腸の調子が悪くなり自分には合わないと思いましたので、今はやっていません。

レース3日前から、野菜類は少なめにする代わり

ご飯を多めに食べるくらいですね。

(金子)

ありがとうございました。

ご自身の目標達成と、チーム監督としてのサポートとご多忙ですが、

今後のご活躍をお祈りします。

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