恩田竜二選手 車いすフェンシング

2021年東京パラリンピックで金メダルを目指す!

プロフィール

恩田竜二

1976年4月8日生まれ、三重県在住。

三交不動産株式会社 所属。

中学、高校とバレーボール部で活躍。

2003年、三重県実業団の日立金属バレーボール部に所属する。

2004年5月に受傷し、脊髄損傷、下半身完全麻痺となる。

手術、リハビリ後、わずか半年で退院。

2010年より車いすテニスを始める。

2015年、車いすフェンシングに出会い、競技転向。

現在、車いすフェンシング協会及びJPCより、強化指定選手に認定。

東京への最終出場選考試合は2021年4月、決定は5月。

2021年の東京パラリンピックでの金メダルを目指す。

車いすフェンシング 戦歴

2018年 アジアパラ競技大会

(個人B)サーブル 銀メダル  (団体)サーブル 銅メダル

2018年 (京都W杯) 個人B サーブル10位 フルーレ20位

2019年 (ポーランドW杯) 個人B サーブル7位 フルーレ25位

世界ランキング

 サーブル10位 フルーレ20位(2020年2月現在)

東京パラリンピック ランキング

 サーブル&フルーレ総合8位(2020年2月現在)

向かって右、ブルーの車いすが恩田選手

(取材 金子正美)

受傷される前から、実業団でバレーボールをされるなど、

優秀なアスリートだった恩田選手は、がっちりした体格で一見、身障者には見えません。

彼を支える奥様の美和さんも交え、車いすフェンシングの面白さや、

身障者としての想いなどを語って頂きました。

■上半身を巧みに使って、スピード感溢れる競技

金子:車いすフェンシングの面白いところは?

恩田選手:主に三つあります。

まずスピード感、上半身のみを使うところ、

そして腕の短い方の選手に合わせて、車いすを固定し、戦うところでしょうか。

腕の長い方が有利になりますね。

 

■銀メダル獲得の瞬間

金子:これまで記憶に残る試合は?

恩田選手:2018年アジアパラ競技大会です。

結果は銀メダルでしたが、これまで負けていた韓国人選手に準決勝で打ち勝ち、決勝まで進めました。

金子:金メダルへの突破口が開けたんですね。

 

■特殊なからだの使い方

金子:この競技は、主に身体のどこを使うのですか?

恩田選手:利き手(恩田選手は右)で剣を持ちますが、

実際よく使うのは、左手(利き手でない方)です。

これは身体をコントロールするために、手すりを持つためです。

この左腕が一番疲れます。

金子:剣を持つ手だと思いましたが、意外ですね。

■多忙な練習スケジュール

金子:日々のスケジュールを教えて下さい。

恩田選手:一週間のうち、主に平日は香川県のコーチのもとで練習しています。ホテル泊になります。

金曜日~月曜日は、京都にある文部科学省指定のトレーニング強化施設で練習しています。

金子:一週間みっちり練習されているのですね。お休みは無いのですか?

お勤めもされているとのことですが。

恩田選手:会社には、「来なくてもいいよ」(練習に打ち込んで下さいという会社の配慮)

と言って下さるのですが、週一回は必ず行きます。

休日は二週間に一日ほどです。

金子:ご多忙だと思いますが、楽しみや趣味はありますか?

恩田選手:美味しいものを食べたり、ゲームをしたり、そして愛犬二匹と遊んでリフレッシュしています。

■太りやすい体質を克服するために

金子:日ごろの食事で気をつけていることは?

恩田選手:太りやすいので、食事にはかなり気をつけています。

香川や京都での練習、他に遠征もあり、外食が多くなります。

妻の作ってくれた保存食を持参しますが、

それには限りがあるので、自分で、コンビニなどで買って、

中食として食べることも多いのです。

栄養的に何を食べればわからない時は、

妻(アスリートフードマイスターの美和さん)に相談して決めています。

金子:好き嫌いはありますか?

恩田選手:好きな食べものは、やっぱり肉。ラーメン、唐揚げも好きです。

美和さん:身体にいいものが嫌いなんです(笑)。

トマト、納豆、梅干しなどです。

金子:美和さんのインスタグラムを拝見すると、トマトを使った丼やマリネなど、

嫌いな食材を工夫して、なんとか食べてもらおうという意気込みが見られますね。

フレッシュトマトをすりおろした 夏野菜のトマトマリネ

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【ここで、一般の方々からの質問のご紹介です。】

●優遇されるのが当たり前ではないけれど・・・

質問:今の世の中において、不便を感じていることや、日常で変えて欲しいことはありますか?

恩田選手:日本は、ハード面では、狭くてバリアフリーでないところも多いですが、

トイレや駐車場は以前よりかなり良くなったと思います。

世界に行くと、ソフト面(障害者に対する気持ちや接し方)が日本と違うな、と感じます。

例えば、スーパーのレジ。海外なら、すぐに見つけて先頭に並ばせてくれますが、

日本だと存在すら意識されていないことが多いです。

金子:先頭に並びたいのではなく、周りの人たちが意識して配慮出来るかどうか?ということですよね。

恩田選手:海外遠征先で転倒した時に、タトゥをいっぱい入れた、一見イカつい若者たちが、

真っ先に飛んで来て、声をかけながら、あっという間に起こしてくれたこともありました。

金子:何かあれば、すぐに飛んできてくれるのは心強いですね。

恩田選手:日本では、車で移動しますが、ガソリンスタンドはセルフが多いので、

障害のある運転者には負担が大きいです。

運転席から車いすに乗り、一旦外へ出て自分でホースを扱う。

メーターも高い位置にあるので見え辛いです。

「優遇されて当たり前」というのも間違いだと思いますが、残念に思うことはあります。

●予想でなく予測

質問:0.何秒という、フェンシングの一瞬のスキをどうやって見極めるのですか?

恩田選手:試合の流れで、相手の次の動きを予測することはとても重要です。

予想でなく、予測です。

剣先でなく、相手の全体を見る。肩が動いたその一瞬をとらえる。

相手が得意なところをわざと空け、攻撃してきた時に逆に狙う。

事前に、相手のプレースタイルや癖などもよく分析しておきます。

そして、必ず点が取れる技を作っておきます。

自分の頭の中に、引き出しを二つか三つ作っておくと良いと思います。

●周りの協力を得て克服する。

質問:ハンディやトラウマに向き合えず、一歩を踏み出せない20~30代の若者に向けて。

小さな一歩とは?どうすれば踏み出せると思われますか?

恩田選手:一人で悩むと引きこもってしまうので、周りの人たちに手助けしてもらう。

自分だけの力では抜け出せないと認めることが必要だと思います。

今、障害が無い人も、もし自分が身障者になってしまったら、

と考えてみることは大事だと思います。

なってしまってから考えるのでは、苦しいでしょう。

僕も、以前はレストランで人を呼べなかったくらい、人見知りな性格でした。

自分の思いを発信することが大切ですね。

●講演会に出てメンタル力をアップ!

その、人見知りな恩田選手が、年に5~6本の講演会の依頼を引き受けたのは、美和さんからの一言だったそうです。  「全部やれ!」と(笑)。

「これもメンタルトレーニングですね」とお二人。

●自分を大切にしよう。

美和さん:肯定力のある人が少ないのではないでしょうか?

自分を大切に思うことが出来れば、周りの人のことも大切に出来ると思います。

【最後に、恩田選手をサポートする人たちのご紹介です。】

□アスリートフードマイスター(AFM)として 

奥様の恩田美和さん

美和さん:料理は好きです。

資格を取ったので、夫も信頼して言うことを聞いてくれます。

体調を壊さなくなったことが大きいですね。

以前は、試合後、練習が出来ないくらい体調を崩しましたが、

今は翌日でも練習出来るようになりました。

また、AFM主催のイベントがきっかけで、

他のアスリートフードマイスターの方達とつながりが出来、

皆さんと連携して情報発信しています。

美和さんのインスタグラムはこちら↓

https://www.instagram.com/afm_miwa/

□菊池先生のメンタルビジョントレーニングについて

恩田選手は、菊池昌太先生の「眼トレ・メントレ・脳トレ」を受けています。

以前は、緊張するタイプだったそうですが、トレーニング後は、周辺視野が広がり、

試合中リードされても気持ちに余裕が持て、焦ることがなくなったといいます。

目のトレーニングというより、メンタル面で大きな力になっているそうです。

菊池先生については、アスモッチで既に取材させて頂いてますので、

そちらをご覧下さい。

https://athmoti.com/

□三交不動産の取り組み

恩田選手は、競技活動に励む傍ら、企業の情報システム部門の一人として業務に携わり、ホームページの作成業務や社内のITインフラの整備などを行っています。

「ダイバーシティの推進とパラスポーツへの支援」

三交不動産は、障害を持つ人を仲間に迎えることで、会社のダイバーシティの推進、社員の多様性やパラスポーツへの理解や支援につなげていきたいと考えています。(三交不動産ホームページより抜粋)

https://re.sanco.co.jp/sdgs/p523/